献血が趣味の愛知お散歩ナビゲーターのほとんどうどんです。
今回、瀬戸市にある愛知県赤十字血液センターの見学会に行ってきました。この見学会は複数回献血クラブ(ラブブラッド)の会員対象に企画されたもので、常時行われているわけではありません。ラッキーにも応募倍率10倍の抽選にあたって参加することができました。
目次
- 愛知県赤十字血液センターの概要
- ご当地けんけつちゃんがお出迎え
- まずは献血セミナーで軽くお勉強します
- 検査部門―安心安全な品質のために様々な検査をします
- 製造部門ー集められた血液は成分ごとに血液製剤に生まれ変わります
- 供給部門―医療機関からの要請に迅速に対応します
- 血液輸送車&献血バスも登場です
- まとめ
- アクセスほか
愛知県赤十字血液センターの概要
愛知県赤十字献血センターはリニモの愛・地球博公園駅の北側、瀬戸市の丘陵地にあります。東海・北陸ブロック(愛知・静岡・岐阜・三重・福井・石川・富山)で献血された血液はすべてこちらに集められ、血液製剤に加工されここから各地の赤十字支部や医療機関へと配送されていきます。
献血した血液が病院に届けられるまでの全工程を見学できる施設は全国的にも珍しく、東海北陸地域ではここだけです。また血液製剤の製造・供給だけでなく、献血ルームも備えています。
ご当地けんけつちゃんがお出迎え
今回のイベントの為にご当地けんけつちゃん(日本赤十字血液事業部のマスコットキャラクター)も登場です。愛知県なので頭にしゃちほこが載ってます。岐阜県は頭にさるぼぼが載っているそうです。
献血推進キャラクターの乃木坂46のメンバーの等身大パネル5体揃っているのは愛知県でここだけだと、スタッフさんは力説されていました。(笑)
まずは献血セミナーで軽くお勉強します
今回の見学会の参加者は30名です。まずは会議室での献血と血液に関するセミナーから始まります。
献血者の内訳は40代が最も多く、その次に50代、30代、20代、60代と続いて10代となります。少子高齢化の影響も多少あるかと思われますが30代、20代の献血協力者の落ち込みが目立ちます。
献血協力者の70%は50歳未満です。私は49歳なのでまもなく残りの30%の方に入ります。
逆に輸血用血液製剤を使用される方々の85%は50歳以上となります。若い世代がお年寄りを支えている構造になっています。
愛知県では1日850人の献血者の協力が必要だそうです。本日、私はこの見学会の前に献血を済ませましたので1/850になりました。今年5回目の献血です。
セミナーではこのあと実際に輸血を受けて急性白血病から助かった女優さんのDVDなども見ます。ハンカチなしでは見られません。涙腺が崩壊寸前です。(笑)
検査部門―安心安全な品質のために様々な検査をします
会議室でのセミナーの後は、血液製剤をつくる現場の見学になります。
まず採血された血液はさまざまな検査を受けます。献血前にも献血が可能かどうか簡単な採血検査は行われますが、ここではもっと徹底的に検査を行います。
さまざまな機器を使用してウィルスや細菌がいないか調べます。
血液センタースタッフの解説を熱心に聞く参加者たちです。
製造部門ー集められた血液は成分ごとに血液製剤に生まれ変わります
昔のテレビドラマや漫画では、患者とドナーが隣り合うベッドに並んでお互いをチューブで繋いで輸血するシーンがありました。これってフィクションの世界? 現代の医療ではドラマのように血液をそのまま輸血することはないと思われます。
輸血用血液製剤には「赤血球製剤」「血漿製剤」「血小板製剤」「全血製剤」があります。以前は採血されたままの血液、すなわち全ての成分を含んだ「全血製剤」の輸血が主流でしたが、現在では、患者さんが必要とする成分だけを輸血する「成分献血」が主流となっています。「成分献血」は、患者さんにとって不必要な成分が輸血されないため、循環器(心臓や腎臓など)の負担が軽減できます。医療機関への全供給数のうち「赤血球製剤」「血漿製剤」「血小板製剤」でほぼ100%を占めています。
出典:
現在はこのようにすべて成分ごとに分離しそれぞれの製剤になります。
私たちが訪れた時はまだ各地から血液が届いていないようで見ることができませんでしたが、右側の金属製の枠の中に血液パックが一つ一つ吊され自然降下を利用してフィルターで白血球が取り除かれます。 白血球は他人の身体の中に入ると悪さをするので完全に取り除かなくてはなりません。こちらのフィルターの行程で白血球を99.99%除去することができます。
さらにその後、特別な装置で放射線を照射し、残った白血球も完全に不活性化するそうです。
こちらでは全血(全成分献血)で提供された血液を遠心分離器にかけ、赤血球とその他の成分に分離しています。いっぽう成分献血では採血時に遠心分離機で血小板、または血しょうに分離され、その他の成分は体内に戻されるのでこの工程は必要なくなります。
なお輸血用血液製剤の他に、採血された血液は血漿分画製剤とよばれる薬を製造する原料にもなります。こちらの方が多くて採血された血液の53%、原料の血漿は製薬会社へと運ばれます。
輸血用血液製剤は100%国内自給ですが、こちらの血漿分画製剤用の原料血液までは国内では自給できずに一部輸入に頼っているそうです。献血者が増えればもちろん国内自給はできるのではないでしょうか。
供給部門―医療機関からの要請に迅速に対応します
こちらの奥が供給部門の司令塔です。ホワイトボードには医療機関からの注文が掲げられ輸送車の配車を行います。
こちらは血漿製剤の保管庫です。マイナス30度の冷凍庫で保管されます。取っ手のついた扉の中がそうです。私たちの入った前室も真冬のような寒さです。
こちらは赤血球製剤の保管庫です。こちらの部屋の温度は2~6度くらいと冷蔵庫並みです。
出番を待つ赤血球製剤です。
こちらは血小板製剤の保管庫です。温度は常温、機械の中で常に振動を与えられて保管されています。血小板製剤の有効期限は4日と最も短くなります。不足しても作りすぎてもダメな在庫管理の難しい製剤となります。
血液輸送車&献血バスも登場です
屋外には血液輸送車がズラリと並びます。輸送は医療機関からの要請に対応するため365日24時間体制です。
血液輸送車は献血ルームから血液を回収し、医療機関へ血液製剤を届けます。回収は北陸の富山県で献血された血液も高速道路を通ってその日のうちにこちらへ運ばれてくるそうです。
配送は豊橋支部のエリアを除く愛知県全域の医療機関に対してこちらから行われます。緊急の際は赤色灯を灯しサイレンを鳴らして輸送します。その際、救急車や消防車と違って一人で運転してもOKだそうです。医療機関から要請があれば製剤1パックでも高速道路を走って届けるそうです。
血液製剤の薬価はあらかじめ決まっていますが、こういったコストも加味されているのでしょうね。
こちらは街でよく見かける献血車です。
内部にはベッドが4台あり、一度に4人の献血が可能です。対応するのは全成分献血だけで成分献血には対応していません。これは成分献血だと時間がかかりすぎて回転率が落ちるのと、遠心分離機など機材が重装備になることによります。
まとめ
私も好きでいろいろ工場見学などに行っていますが、その中でもかなり実際の現場の核心部分まで入らしてもらえる見学会です。(製造・検査部門はガラス越しですが、働いている人との距離が非常に近い)
また献血にまつわる現状や、血液センターの裏話も聞くことができ、非常に有意義な楽しい見学会でした。献血を続けようというモチベーションがあがりました。
アクセスほか
場所 〒489-8555 瀬戸市南山口町539-3
電話 0561-84-1131
受付時間
【成分献血】9:00~11:00/13:00~16:00
【400・200mL】9:00~12:00/13:00~16:45
定休日 日曜日、祝日、12/29 ~1/3
(令和元年6月1日から、土曜日の献血受付を再開)
アクセス
リニモ(東部丘陵線)愛・地球博記念公園駅より 無料送迎バス有。
敷地内に駐車場あり